胃・大腸内視鏡検査
一般診療
なかむら消化器クリニックでは以下の疾患の診療を行っています。
がんの診療
身近なひとががんになった、テレビでもよくがんの番組をしているなど「癌―がん」という言葉を見聞きする時代になりました。
しかし実際に、がんについて
- 予防する
- 相談する
- 診察を受ける
- 検査をする
- 専門の医師を紹介してもらう
- 治療を受ける
などなかなか難しいのではないでしょうか。
大学病院など大きな病院にはいわゆる名医がおられますが、 なかなかそこまでたどりつきません。
ここでは、胃がん、大腸がんについてお話します。
各自治体でおこなわれている「がん検診」も重要ですが、 それだけで見つからない場合もありますので注意しましょう。
胃がん
約11万人/年胃がんになります。約5万人/年胃がんで死亡されます。
進行すれば治療が困難な場合がありますが、早期に発見すれば、完治することができます。
症状
早期胃がんではほとんど症状がありません。
進行すると、はきけ、もどす、不快感、胸やけ、腹痛、食欲不振、体重減少など認めます。
原因
最近、ピロリ菌との関連が強くいわれています。 ピロリ菌感染があり、塩分が多い食事をされる方はさらにリスクが高くなるようです。ピロリ菌感染のある方は、ない方と比べ胃がんになるリスクが10倍との報告があります。
検査
胃カメラにより早期胃がんを発見することができます。
治療
内視鏡による切除
約2cmまでの大きさの早期癌であれば内視鏡(胃カメラ)で切除できる可能性があります。
開腹する(おなかを切る)ことなく治療ができます。
入院期間もだいたい1~2週間で身体の負担もほとんどありません。
手術
1.腹腔鏡下胃切除
内視鏡でとれない胃がんに対して行われます。がんが粘膜の下まで進み、かつその近くのリンパ節をとる必要がある場合に行われる手術です。
おなか大きく切るのでなく、小さな穴を4~5か所あけて手術をします。
がんの存在する胃および周囲のリンパ節を切除する手術です。
現在では多くの病院で普及している手術ではありませんが、
1)傷が小さくてすむ、
2)術後に創部が痛くない。
3)入院期間が短い。
などのメリットがあり今後普及していく手術です。
2.開腹手術
従来から行われている手術で、進行胃がんに対して行われます。
がんが胃の外に出ている場合、リンパ節に転移している場合、肝臓など他の臓器に転移している場合など、大きくおなかを切り病巣を取り除きます。
3.化学療法(抗がん剤)
当院では進行胃がんで手術を受け、さらに術後に補助化学療法として抗がん剤が必要な患者さんにTS-1という抗がん剤を投与しています。これにより再発予防、延命効果につながるという報告があります。
大腸がん
早く発見できれば治るがんですが、日本では年間10万人の大腸がんになります。
大腸がんができるルート
②大腸の正常な粘膜からできる。
症状
早期のがんには症状がありません。
進行したがんになると、下痢、便秘、便が細くなる、便が残った感じがする、下血、腹痛などの症状が出ます。
検査
便潜血反応―簡単な検査です。専用の容器に2日間自宅で便をとり潜血(潜血;目に見えない血液)がないか調べます。
1万人の方を検査すると以下のように病気が見つかります。
早期がん | 5人 |
---|---|
進行がん | 5人 |
ポリープ | 50人 |
かんたんな検査で費用、負担も少なくすみます。
ただし大腸の病気が必ず見つかる検査ではなく、つまり、「異常なし」と結果がでても大腸がんが見つかる場合があります。
自覚症状がはっきりしている場合は大腸内視鏡検査を受けましょう。
治療
①内視鏡切除
大腸内視鏡検査で早期がんが見つかれば、大学病院などへ紹介し、内視鏡が可能か検討していただきます。
②手術
大腸カメラで切除できないような進行大腸がんは手術が必要です。
現代の手術は「腹腔鏡手術」が主流となってきています。おなかに小さな穴をあけ特殊な機械を挿入し大腸やリンパ節を切除する手術です。
身体に対する影響が少なく、入院期間も短くすみます。当院で進行大腸がんが見つかった場合すぐに手術への準備をさせていただきます。
③抗がん剤
大腸がんの手術を受け手術後に、抗がん剤の投与が必要な患者さんには当院で治療しています。
④手術後のフォロー
胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査、腹部超音波検査、CT検査の依頼、血液検査での腫瘍マーカーのチェックなど手術後に欠かせない再発や転移のチェックは当院でさせていただいております。
その他のがん
肝臓がん、膵臓がん、胆のう癌など
腫瘍マーカー、超音波検査、CT検査などで検索します。
ガン手術後の方
胃、大腸がんの手術後の方
胃、大腸は食べ物を消化、吸収し、運ぶ機能があります。
ひとが生きていく上で欠かせないエネルギーを取り入れ、不要なものを廃棄する役目があります。
胃がんや大腸がんのため、その一部またはすべてを切除するとその後の生活に大きな支障をきたすことがあります。
うまく食事を吸収できず「栄養障害」になったり、食べた物がうまく肛門まで届かず「つまったり」、いっぺんに出てしまい「下痢」になったりで生活上大変困ります。
1.胃の手術後の方
胃の下2/3をとっている方が多いです。
胃が小さくなるため、「小胃症状」と、いわれる症状がでます。
このため、貧血、骨粗鬆症、逆流性食道炎などを起こします。
まためまい、発汗、脱力などの症状があるダンピング症候群になる方もおられます。
2.大腸、直腸の手術後の方
1.大腸を切除―右側大腸を手術している方は、小腸と大腸のつなぎ目であるバウヒン弁を切除している場合が多く、この弁がなくなると非常に「下痢」をしやすくなります。またどの方も下痢便、便の回数が多いなど手術して何年か経っても改善しない場合があります。
2.直腸を切除―より排便に関する症状がでやすくなります。
普通直腸に便を貯留するので、それがなくなると頻回に便意をもよおし、便も軟便、下痢便となりやすいです。
このように胃、大腸の手術後でお困りの方は、漢方薬で対応が可能です。
消化器の病気
食道
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流することにより生じる病気です。
症状
胸焼け、げっぷ、苦い水があがる、食べ物がつかえる、はきけがする
このような方がよくなります
食べ過ぎ、アルコールをよく飲む、油っこいものをよく食べる、食後すぐに横になる、肥満の方
治療
胃カメラで確認し、
①胃酸をおさえる薬を内服する
②胃の動きを改善し、胃酸、食べ物を下に流す薬を内服する
③漢方薬を内服する
食道がん
症状
胸にしみる感じ、痛み、のどが詰まる感じなど食道炎に似た症状です。
検査
胃カメラが最も正確に診断できる検査です。
治療
①内視鏡切除―サイズが2cm以内の早期癌であれば内視鏡で切除できる可能性があります。
②手術
③放射線治療
胃、十二指腸
潰瘍(かいよう)が代表的な病気です。
潰瘍とはいろいろな原因で胃や十二指腸の粘膜がけずられた状態の病気のことです。たとえば転んでヒザをすりむいたときの傷のイメージです。
原因
ピロリ菌感染が代表
0歳以上の70%以上のかたがピロリ菌感染を認めます。多くの場合このピロリ菌感染が原因で潰瘍になります。
正式にはヘリコバクターピロリ菌という細菌です。このピロリ菌が胃に感染し、胃に住み着き胃炎を起こし、さらに胃や十二指腸潰瘍をつくります。
胃、十二指腸潰瘍の患者さんの90%の方がピロリ菌感染しています。
便秘症
毎日排便があっても残便感がある状態です。
食べ物は胃でつぶされ、小腸に送られ消化吸収されます。その残りが大腸に送られ泥状の便の水分が吸収されペースト状の便になります。しかし便が長く大腸内にあると便が硬くなり排便しにくい状態になります。
原因と症状
- 1.器質性便秘―便が通過するのに何かがじゃまをしている状態
大腸がんなどが腸に発生し便が通過できなくなる場合。
開腹手術(大腸がん、虫垂炎、子宮筋腫など)を受けたため腸が癒着している場合。(腸と腸がくっついてしまうため自由に腸が動かない。) - 2.機能性便秘―動きが悪いために便秘する。
- 3.習慣性便秘―多くの方の便秘がこれにあたります。
弛緩性便秘 大腸の蠕動が低下つまり大腸がきちっと動かずだらっとした状態になり便をうまく送れない場合です。
日本で最もよくみられるタイプの便秘です。けいれん性便秘 左側大腸の緊張が強いため便の推進がブロックされるために便秘になります。排便のときに最初にコロコロした硬い便が出て後半はやわらかい便がでることが多く、排便後すっきりしません。少量の軟便が続くことがあります。
過敏性腸症候群の症状としてみられることが多いようです。直腸型便秘 肛門近くの直腸に便がたまりうまく排出できない状態です。
普通、直腸に便がたまると反射で便意をもよおします。
しかし便意をがまんする習慣を続けた結果便意がにぶくなることがあり便秘となることがあります。 - 4.症候性便秘―他の病気が原因で便秘になることがあります。
代表的な原因疾患
脳腫瘍、甲状腺機能低下症、糖尿病、薬剤(抗コリン剤、高血圧の薬)
ピロリ菌
ピロリ菌感染と胃がん
胃に住み着いたピロリ菌の出す毒素により胃粘膜が障害され癌の原因になるのではと考えられています。
New England Journal of Medicineという医学誌に掲載されデータで胃がんになったひとの割合が示されています。
ピロリ菌感染していないひとが10年間でだれも胃がんになっていないのに対して、ピロリ菌感染のあるひとは同じ10年間で2.9%のひとが胃がんになっています。
ピロリ菌の検査
胃カメラを使う方法―保険診療で実施できます
まず胃カメラを実施し胃炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍があれば、胃の粘膜を少し採取し特殊な液につけ反応をみればピロリ菌がいるかすぐにわかります。(迅速ウレアーゼ法)
血液検査
採血しピロリ菌の抗体が存在するか調べます。
ピロリ菌の除菌治療
ピロリ菌を除菌することにより、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発を防ぎます。さらに胃がんを予防できる可能性があります。
用法
マクロライド系抗生物質 | 1日2錠 |
---|---|
ペニシリン系抗生物質 | 1日6錠 |
胃酸をおさえる薬 | 1日2錠 |
※上記を一週間服用。
除菌が成功したかどうか
除菌薬服用後4週間以上あけて、尿素呼気法という簡単な検査で除菌が成功したかどうかわかります。(保険診療で除菌を行った場合は、やはり保険診療でこの検査を実施できます。)
除菌の成功率は70~80%です。
1回目の除菌で成功しなければ、2次除菌といって1回目とちがう薬を1週間内服していただきます。
2次除菌の成功率は90%です。
生活習慣病
高血圧、脂質異常症(高コレステロール、高脂血症)、糖尿病など生活習慣が影響し、かかる病気です。
生活習慣では主に下記5つの要素が重要です。この生活習慣病はがんにも大きく影響します。
1.たばこ
喫煙は食道がん、胃がん、大腸がんなどいろいろながんの原因になります。
2.お酒
飲酒は適量をこえればがんのリスクになります。
アルコールが分解されるとアセトアルデヒドという物質が発生し、これが発がん物質となります。
国立がん研究センターのデータでは1日あたりの飲酒量が日本酒換算で2合以上になるとがんの発生率が上がるとのことです。
さらにビールなどの飲みすぎは中性脂肪が増えて、脂肪肝などになります。
3.食事
あらゆる健康の基本は食事です。
塩分
胃がんと高血圧に関係します。
やはり国立がん研究センターのデータでは塩分を多くとる人は、摂取の少ない人に比べて胃がんになるリスクが2倍になります。
肉食
赤肉(牛肉、豚肉、羊肉)をたくさん食べると大腸がんになるリスクがあがります。
国際的には1週間に500g以内の摂取が推奨されています。
さらに脂身をたくさん含む肉食は、コレステロール(LDLコレステロール;いわゆる”悪玉コレステロール)が上昇し、動脈硬化が進み、脳梗塞、心筋梗塞につながります。
4.肥満
国際的な研究では「肥満」が食道がん、腎がん、乳がん、子宮体がんなど多くのがんのリスクを高めるといわれています。
BMI(体格指数:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が30以上のひとは発がんリスクが高くなります。
またBMI21未満のやせ過ぎの人もリスクは高くなるようです。
もちろん、肥満は高血圧、糖尿病などの病気を助長しますのであらゆる病気にとって問題となります。
5.運動
あらゆる病気の予防につながります。
よく運動する方は、高血圧、高脂血症、肥満症の予防につながり健康が維持でき、さらに大腸がんのリスクが男性では40%、女性では20%さがるとのデータがあります。(国立がん研究センター)
以上のように生活習慣によって高血圧、糖尿病などにかかりやすくなり、さらにがんになるリスクにも関係します。
職場の検診や市民健診でなにか異常を指摘された方は ご相談ください。
身体、病気は別々に切り離すことはできません、totalに 全身をケアし、病気を予防するお手伝いいたします。